Your Man ep.2-46
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ベットの上で寄り添っていると、部屋の中に来訪を告げる音が響いた。
「ちょっと待ってて?」
「うん」
離れていくと、ちょっと寂しい。
じっとチャンミンの背中を見送り、戻ってくるのを待っていた。
でも、なかなか戻ってきてくれない。
「チャンミン?」
不安に駆られて呼びかければ、しばらくしてチャンミンが姿を現した。
「おいで?」
広げられた腕の中に迷うことなく飛び込み、ぎゅっと抱き着く。
扉の向こうは、幻想的な空間が広がっていた。
ろうそくの炎がゆらゆらと揺れて、ダイニングテーブルには豪華な料理。
そして、その真ん中にはイチゴがたっぷりと添えられたケーキ。
「うわ…っ」
そのケーキには”Happy Birthday Dear Yunho”のメッセージプレート。
まさか、こんなものまで用意してくれてるなんて…。
チャンミンってホントすごい!
オレにはこんなこと、絶対にできない。
っていうか、チャンミンの誕生日どうしよう…。
プレゼントは用意したけど、それ以外なんにもしてない。
「ユノ?」
名を呼ばれて我に返り、誤魔化すように笑った。
でも、顔面リトマス紙なんて呼ばれているオレはもちろん、隠しごとなんかできないワケで、チャンミンは呆れ顔だ。
仕方なく話せば、チャンミンは微笑んだ。
「僕はユノがいてくれればそれでいいよ」
なんて。
そんな歯の浮くような台詞をさらっと言っちゃうんだ。
もちろん、オレだってそう思ってる。
でも、チャンミンがここまでしてくれたのにプレゼントだけってどうなんだ…?
帰ったら、相談してみようかな…。
ピルギョじゃ話にならないから、ミノかチリョン?
ジヘに相談したら馬鹿にされそうだし。
とりあえずと高そうなシャンパンで乾杯して、ルームサービスとは思えない料理に舌鼓を打つ。
でも、やっぱりチャンミンの作る料理のほうがおいしいと思う。
もちろんマズイわけじゃないんだけど。
チャンミンのおかげですっかり舌が肥えてしまったみたいだ。
そんなこんなで誕生日は終わってしまって、オレたちは自宅へと戻った。
「おかえり。どうだった?誕生日は」
真っ先に向かえてくれたのはチリョンだった。
それになぜか、今日はジヘまでいる。
「誕生日プレゼントなにもらったの?チャンミンおっぱのことだから、すごいものくれたんじゃないの?」
「そ、それは…」
思わず口ごもった。
めっちゃ嬉しかった誕生日プレゼント。
だって、この世に一つしかないものもらっちゃったんだ。
それに夢まで叶っちゃった。
「な~に~?顔真っ赤にしちゃって。あやし~っ」
「あ、あやしくねーしっ!なんだっていいだろっ!」
そうだ。
別に報告する必要なんかない。
「やっぱり、チャンミンおっぱの誕生日にはおっぱをプレゼント?リボン、つけてあげようか?」
「おま…っ!バ、バカにすんじゃねーっ」
やっぱり、ジヘに相談なんかできない。
ミノかチリョン…っていうか、ふたりに相談すればいいのか。
でも、いつ?
だって、ずっとチャンミンがそばにいるし。
目の前で相談なんてできないよな…。
困った…。
「ユノ?」
「チャンミン…っ」
オレって、なんでこんななんだろう…。
チャンミンはオレのためにいろいろ、それこそいくら恩返ししてもし足りないくらいしてくれてるのに…。
「はい、カフェオレ。で、どうしたの?」
「チャンミンおっぱの誕生日はやっぱりおっぱ本人をプレゼントっていうのがイイんじゃないかな~と思って」
「ジヘっ!」
なんてこと言うんだ!?
しかも、チャンミンの目の前で。
自分でも顔が赤くなっていくのがわかるくらい、熱い。
「それは名案」
「…っ」
絶対、からかってる。
オレの反応見て、楽しんでるんだ…っ。
渡されたカフェオレたっぷりのカップが手の中で震えていた。
ぶるぶると。
「でも、おっぱ。ホントにどうするの?おっぱのことだから何も考えてないんでしょ?」
「…」
さすが、妹。
オレのことよくわかってるじゃねーか…。
それで悩んでんだよ。
いま、まさに。
「ユノ」
呼ばれて振り返れば、チャンミンが優しい微笑みを浮かべてオレを見つめてる。
やっぱ、キレイ。
見惚れちゃうくらい。
「気にしなくていいよ?僕はユノがいてくれればそれだけで幸せだし。それに…」
「それに?」
「もう、世界にひとつしかないもの貰ったし」
「ん…?」
意味深な笑みを浮かべ、オレの頭をそっと撫でる。
なんかあげたっけ…?
身に覚えがない。
「もう忘れちゃったの?」
「なになに?なにもらったの!?」
「内緒」
ひとり、チャンミンだけ楽しそうに笑っている。
オレとジヘは頭の中、クエスチョンマークでいっぱいだ。
じっと見つめてみても気づかぬフリでそっぽ向いてる。
教えてくれない気だな…。
でも、ホントにオレなにあげた…?
なんにもあげてないよな…?
「おっぱ。ちょっと、どういうことよ?」
オレが聞きたいし。
いくら思い返してみても、チャンミンにあげたものなんて…。
「あ…」
もしかして、もしかする…?
急に恥ずかしくなった。
また、顔が熱くなっていく。
ちらりとチャンミンを見上げれば、ふっと笑みが浮かんだ。
「わかった?」
「た、ぶん…わかった、気がする…」
確かに世界でひとつしかないけど、でもそれってあげたことになるのか…?
どっちかって言うと逆なんじゃ…。
だって、チャンミンのバックバージン…。
「…っ」
ヤバイ。
思いだしたら、くらくらしてきた。
チャンミンのエロイ姿が鮮やかに呼び起こされて。
気づくと前かがみ。
たぶん、チャンミンはわかったんだろうな。
思いっきり爆笑してた。
腹を抱えて、声を張り上げて。
コーヒーをこぼさないようにカップを持った手を宙に浮かせたまま。
「わ、笑うなよっ!」
「だ、だって…っ」
ゲラゲラ、ゲラゲラ。
大口を開けて、キレイなのに豪快に。
「チャンミンっ!」
オレはそれどころじゃねぇ…っ。
コレ、どうすりゃいいんだ?
だって、気持ちよかったんだ…。
チャンミン中、ものすっごく熱くて、絡みついてきて。
ホントはもっとシたかったけど、チャンミンが辛そうで、もういいやって思った。
だから、ウソついた。
もちろん、チャンミンに抱かれるのが気持ちいいっていうのもあったけど…。
ダ、ダメだ…。
思いだしたらまた…っ。
「おっぱ?何してんの??」
「男の事情だよ」
「え?なになに?なんのこと?」
「ね?ユノ」
顔も上げられないじゃないか…っ。
涙目のまま睨み付けてみても、チャンミンは笑うばかり。
「ちゃ、ちゃみ…っ」
助けを乞うように名前を呼べば、ふわりと身体が浮かび上がった。
「男…?」
背を向けたオレたちに、そんな呟きが聞こえてきた。
「ま、まさかおっぱ、脱童貞!?」
「でかい声で言うなっ!」
「うそーっ!お赤飯炊かなきゃっ!」
「いらねーしっ!」
もう、やだ…。
そんな中、チャンミンだけが笑ってた。
イジワルだ…。
でも、好き。
「また来年ね?」
「え…?」
それって…。
「さすがに1回じゃ可哀想だし。毎年ユノの誕生日にあげるよ」
「ホ、ホント!?」
だって、すげぇ失敗しちゃったし。
もうシたくないって言われると思ってた。
「僕がユノにウソつくはずないでしょ?」
やっぱり、やっぱり、チャンミンは最高の恋人だ!
もちろん他の奴等のことなんてわかんないけど。
チャンミンしか知らないけど。
オレはチャンミンがいい。
「とりあえずユノのソレ、どうにかしないとね」
「だ、だって、思いだしちゃったんだもん…」
「知ってる。だから責任取ってあげる」
「うん…っ」
パタンと静かに扉がしまった。
ふたりだけの部屋。
見下ろすのはオレの大好きな人。
後悔なんてない。
だって、唯一オレの特別な人だから…。
完。
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