366日 67
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夏も真っ盛りのなか、アパレル業界では秋物を準備し始める。
できあがったものを実際着てみて、微妙な調整。
間もなく夏休み。
シウォンが出してきたスケジュールは1か月まるまる海外で過ごす内容のものだった。
撮影ってそんなに時間がかかるのか…?
半信半疑のまま、準備をしていた。
「チャンミナ、シウォンが1週間くらいオフくれるって。だから、デートしような?」
「え?そうなんですか?」
「うん。ま、撮影が順調にいけば、ってカンジらしいけど」
もしかして…気を遣ってくれた?
なんかそんな気がする。
「いろんなとこ回るらしいな?あっちこっちで撮影って言ってた。もうほとんどヨーロッパ一週ってカンジ」
ユノは大笑いだけど、笑いごとじゃない。
そんなにお金かけてるの?
なんか、心配になってきた。
いまさらだけど、僕で大丈夫なんだろうかって。
ものすごく不安。
胃がキリキリと痛むくらい。
「チャンミナ?」
「…」
顔を覗き込まれたかと思ったら、抱きしめられた。
優しく。
羽根で包み込むみたいに。
「なんも心配することなんかないよ。大丈夫」
「…」
わかってしまったみたい。
情けない奴って思われていないか、また違う意味で不安になる。
「チャンミナはいつも通りで大丈夫」
まるでユノが撮影するみたいな言い方。
単なる同行者なのに。
でも、不思議と心が軽くなる。
「緊張してたら、余計ダメだと思うぞ?」
「…ですね」
「心配すんなって。チャンミナは誰から見ても美人だし、誰から見ても男前だから」
「なんですか?それ…」
美人と男前って、正反対じゃないか。
どっちなんだってカンジ。
「だって、ホントのことだもん」
「男前はユノみたいな人のことを言うんですよ」
「そうか?オレなんか、そこらに落ちてる石ころと同じだと思うけどな…」
たとえがあまりにもひどすぎる。
自分のこととはいえ、石ころって…。
「チャンミナはダイヤの原石」
「ユノは僕のことを過大評価しすぎです」
「チャンミナは過小評価しすぎだけどな」
つまり足して2で割るとちょうどいいってこと…?
なんか、笑える。
「やっと笑った」
ユノに心配をかけてしまったみたいだ。
僕の心を軽くする魔法。
それはユノだけが持っている不思議な力。
「チャンミナ」
「うん?」
「セックスしよう!」
「は?」
いきなりなんなんだ?
とはいえ、突然なのはいつものこと。
ユノはいつもなんの前触れもなく言い出すんだ。
問題は、果たして今日はどっちなのかということ。
「今日はめいっぱい愛してやるからな?」
ということは、僕が抱かれる方か。
問題はない。
17時頃、事務所が送迎の車を出してくれるはず。
そのまま車に乗って空港へ行き、飛行機に乗るだけ。
これだけ時間があるんだ、多少無理しても出かけるころにはなんとか歩けるようにはなっているだろう。
向こうへ行ってしまったら、そうそうセックスもできないし。
「はやく準備してシャワー」
「うん」
止まっていた手を動かし、トランクに着替えを詰めていく。
とりあえず、7日分くらいの服。
下着は少し多めに。
ふたり分の荷造りを終えて、慌ただしくバスルームへと向かう。
互いの身体を流し合って、腰にタオルを巻いただけの状態で寝室に向かって。
ベットへなだれ込めば邪魔だと言わんばかりにタオルがフローリングへと投げ捨てられた。
「チャンミナ」
掠れた声で囁くように名を呼ばれ、身体が震える。
唇が重なり合い、ユノの手のひらが身体のラインを辿るように滑り降りていった。
「ん…」
もう、何度こうしてユノに抱かれただろう…。
幸せな時間。
こうして肌と肌を直に触れあわせ、愛を囁かれて。
だんだんと身体が火照り始める。
「ユノ…っ」
「ん?気持ちいい?」
飼いならされた身体はすぐに快感に飲み込まれていってしまう。
ユノもすでに僕の身体を熟知しており、いいところだけを選りすぐるから。
はけ口を求め震えている僕のそれを優しく包み込んで、先端に口づける。
舌先で鈴口を舐めて蜜を絡め取り、根元に向かってねっとりと舌全体を滑らせて。
「あ…っ」
「元気いいな、チャンミナの」
くすくすと喉の奥で笑うような声。
仕方がないじゃないか。
気持ちいいんだから。
かろうじて達するのを堪えたが、ユノはそれを見越しているかのように次の手を打ってくる。
僕のを口に含んで、指は蕾の奥へ。
堪ったものじゃない。
同時に責められるのは。
「ひ…っ、ぁ、あ…っ!」
「チャンミナ、エロすぎだし」
僕をこんな風にしたのは、ユノだ。
ユノに抱かれて、そのたびに僕はおかしくなっていく。
声を殺したいけど、顔を隠したいけど、それすらも堪えているうちに。
ギリギリだ。
気を抜いたら達してしまう。
シーツをきつく握りしめてなんとかやり過ごそうとするも、快感の津波は次から次に襲ってくる。
「我慢するなって」
内側から強く押し上げられ、思わず悲鳴を上げた。
我慢なんかできない。
押し出されるように達すれば、ユノがそれをゴクリと一息に飲み干す。
飲まなくていいって言いたいのに、それすら言葉にならない。
とにかく息苦しくて。
まだ、夜はこれからだというのに。
「気持ちよかった?」
これで気持ちよくなかったなんて言っても、まるで信憑性がない。
もちろん、ユノもわかってて聞いてるんだろうけど。
気持ちはわかるんだ。
言ってほしいんだよね?
気持ちよかったって。
だから、僕はその期待に応える。
「チャンミナのここさ、すげぇ柔らかいの。もう挿っちゃいそう」
そりゃそうだ。
もう、数えきれないくらいユノに抱かれているんだから。
週末ともなれば毎日のように。
平日はさすがに僕が抱く方が多かったけど。
「挿れていい?」
躊躇うことなく頷けば、ふっと笑みが浮かぶ。
いつもとは違う、大人びた笑顔。
ぴたりと先端を押し付けられたかと思えば、どんどん中へ進んでくる。
僕の中は、すでにユノの形を覚えているみたいだ。
ぴったりと密着している。
ユノの形がわかる。
「あ~…チャンミナん中、すげぇ気持ちいい…っ」
恍惚としたその表情。
そんなの、僕だって同じだ。
ユノとセックスするのは気持ちいいし、幸せに触れているかのような錯覚を覚える。
僕にとってユノこそが幸せの象徴であり、愛の塊だから。
抱く方であっても、抱かれる方であっても。
ユノだからこそ意味がある。
「ユノ…」
「わかってるって。焦んなくても大丈夫。すぐ気持ちよくしてやるから…な?」
大丈夫。
まだ時間はたっぷりあるから。
夕方、動けるようになっていれば構わないから。
いまはただユノの愛を感じていたい。
ひとりの人間として…。
to be continued.
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